Googleは4月15日、検索広告の「Dynamic Search Ads(DSA)」を後継機能であるAI Max for Search campaignsへ段階的に移行するスケジュールを公式に示し、広告運用の中核を担ってきた広告生成の自動化をさらに押し進める方針を明確にした。発表はGoogle公式ブログで行われ、Google AdsのプロダクトリエゾンであるGinny Marvin氏も同日にXで告知している。9月からはDSAをはじめ、自動生成アセット(ACA)やキャンペーン単位の部分一致設定が自動的にAI Maxへアップグレードされ、以降はDSAの新規作成が管理画面、Google Ads Editor、APIのいずれでもできなくなる。
GoogleがDSA終了とAI Max移行を正式発表し広告生成の自動化を加速
今回の告知の中心は、長年にわたり検索クエリの取りこぼしを補ってきたDSAを、AI Maxに統合するという意思決定だ。Googleは理由として「消費者の検索行動がより複雑で予測しづらくなっている」点を挙げ、従来のページ内容ベースの仕組みでは対応範囲が限られるとの見立てを示した。
DSAはサイトのランディングページをGoogleのクローラーが解析し、ページ内の情報から見出しなどを生成して配信する設計だった。一方でAI Maxは、ランディングページに加えて広告アセットの情報やリアルタイムのインテントシグナルも用い、機械学習によってより広い検索意図に追随することを狙う。
検索広告の運用現場では、商品点数が多いECや更新頻度が高いメディア系サイトでDSAが“自動拡張”の役割を担ってきた経緯がある。そうした枠組みがAI Maxへ置き換わることで、検索キャンペーン自体の設計やガバナンスも再整理が迫られる局面に入った。

Performance Maxにも波及するAI機能拡張とキャンペーン最適化の位置づけ
Googleが強調するのは、広告運用を“手作業の調整”から、シグナルと素材を統合して成果を伸ばすマーケティングテクノロジーへ移す流れだ。検索領域ではAI Maxがその役割を担い、複数面を横断するPerformance Maxでは、もともと自動配信と最適化が前提のプロダクトとして浸透してきた。
実務では、たとえば小売企業が「検索で顕在需要を拾うAI Max」と「動画・ディスプレイまで含めて新規需要を取りに行くPerformance Max」を併用し、意図の異なる広告配信を分担させる構図が想定される。検索に強いコントロールを残しつつ自動化を深めるのか、フルファネルで最適化するのか。両者の使い分けが、デジタルマーケティングの設計そのものを左右し始めている。
GoogleはAI Maxについて、フル機能(検索語句マッチング、テキストカスタマイズ、最終URL拡張)を有効化した場合、検索語句マッチング単体と比べて平均7%のコンバージョン、またはコンバージョン値の増加が見られたと公表している(CPA/ROASは同等)。数字が示すのは、最適化の余地が「入札」だけでなく、生成されるアセットの適合にも広がった点だ。
この流れを理解するうえで、Google広告の自動化戦略やPerformance Maxの位置づけを追う公式解説や事例動画を参照する広告主も増えている。
9月の自動アップグレードで何が変わるのか 運用現場への影響
移行は2段階で進む。まず「今〜9月」は自主移行期間とされ、移行ツールの展開が始まる。DSAを利用している広告主は、既存の設定やデータを新しい標準広告グループへ移す仕組みを使い、任意のタイミングで切り替えられる。
次に9月以降、未対応の対象キャンペーンが自動的にAI Maxへアップグレードされる。DSAの場合は動的広告グループが標準広告グループへ変換され、AI Maxの3機能が有効化される一方、従来のURLコントロールは引き継がれる。ACAは検索語句マッチングとテキストカスタマイズがデフォルトでオンになり、キャンペーン単位の部分一致設定は検索語句マッチングとして継承される。
運用者にとって実務上の焦点は、AIが生成するテキストをどう統制し、どの範囲まで許容するかだ。AI Maxではブランド、ロケーション、URLの各種コントロールに加え、生成テキストのガードレールとなるText Guidelinesが用意される。自動移行を待つだけでは新しい制御項目は自動で整わないため、切り替え前に方針を固める必要がある。
もう一つの論点は、既存キーワードとの“競合”だ。Googleの説明では、重複時に完全一致が優先される一方、AI Maxがより高い広告ランクを得る場合はAI Maxが前に出る局面も想定される。検索の構造が変わるほど、アカウント内の配信設計や除外キーワードの置き方が成果に直結する。
Googleは、影響を見極める手段としてワンクリックの実験機能によるテストを推奨している。自動化が進むほど、切り替えの瞬間に何が変わったのかを“見える化”する工程が欠かせないというわけだ。
検索広告の自動化を巡る議論は、生成アセットの品質管理やブランドセーフティとも結びつき、広告主・代理店双方の運用体制に波及している。
DSAの新規作成が停止される9月を境に、検索広告の自動拡張はAI Maxへ一本化される。Googleが示したのは、広告運用の中心を「設定の工夫」から「シグナル設計と統制」へ移す大きな転換であり、Performance Maxを含むプロダクト群全体でAI機能の比重がさらに高まる局面が続きそうだ。
